カキクドウラク

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【鑑賞レポート】「劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン」スタッフトークがやっぱり最高だった話(後編)

12月3日(木)に行われた「『劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン』スタッフトーク付上映会」に行ってきました。

可能な限りメモを取り、私の感想を交えつつ、トークショーを見ていない方でもなるべく雰囲気が分かるように整えましたので、数々の驚きと感動を、同じファンの方と共有できるとうれしいです。

※かなりのボリュームになったので前編と後編に分けており、今回は後編です。前編は こちらの記事をご覧ください。

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5つ目のトピックは、2つ目のトピックで少し触れられていたCMの制作に関する話です。



八田:ティザー(※1)的な感じで作って、(CMの中のアニメ部分は)30秒なんですけど、制作期間と使用した(絵の)枚数が、テレビシリーズ1本作れるくらい。

(※1)商品の情報を断片的に公開し、消費者の興味を引くことを意図したプロモーション手法。ティザーは、英語のtease(焦らす)に由来する。

石立:それは言い過ぎ(笑)

八田:でもそれくらい使っていますよ!

石立:使って……ません。枚数もそうですけど、テレビシリーズ1本ってそんなに使っているわけないじゃないですか(笑)

八田:それはあとで議論しましょう(笑)でも、あれは言っておいた方がいいと思います。あの(CMの最初に登場する)タイプライターの件は。

石立:あのタイプライター(のカットの作画)は手描きなんです。本当にヴァイオレットをアニメーション化する足掛かりというか、いちばん最初の手作業だったので。もちろん、劇場版とか外伝とかシリーズでも後半になると、タイプライターは、基本的に先ほどの(ライデン3Dモデリングを組んだ)スタッフが作っているのですが、なんでそのタイプライターを3Dのモデリングを作ることになったのかというと、このCMのいちばん最初のカットのタイプライターを手描きしてもらったんですけど、弊社でもけっこう上手だって言われているアニメーターの方にお願いして、あの1カットだけで1か月かかったんです。これはもう(全部手描きしていたら)間に合わないなっていうことで。仕上がりは僕もすごいなって思うんですけど、手描きとは思えないくらい動いているし、形にも狂いがないし。でも、テレビアニメーション化する際にはちょっと厳しすぎると。やらんでもわかるやろっていうのはさておき、手描きにしてみて、その大変さがよく分かりました。このCMは、今にして思えば葉っぱかけられていたんだと思いますけど、見てくださった方にとって魅力的な映像にならなければアニメーション化しないから、これが世に響くかどうかでそのあとのこと決めるからみたいな感じで言われて、死に物狂いで作っていました。

斎藤:そうですね。今、八田さんは冷静な顔で座っていますけど、当時は進捗あるたびに「すごいのができた」って僕に教えてくれて。興奮していましたよね。

八田:何でもそうなんですけど、特に『Violet Snow』がここから生まれたっていうのがありますね。

斎藤:そうですね。『Violet Snow』は、この曲はこのCMのために作ったものでして、このとき実は2回歌を録っているんですね。2回とも歌っている人は結城アイラさんなんですけど、僕にお任せいただいて録って(石立監督に)こんな感じでよいか聞いてみたんですけど、監督が「多分、こうじゃないな」ってリテイクを強く求めてきたんです。まあ、それはよくある話なんですけど……で、実際にどんなものがいいかっていうのがちょっとふんわりしていたので、直接来てもらった方が絶対後悔しないなって思って、ちょっと無理言って東京のスタジオまで来てもらって、監督が横にいる状態で「こういう歌い方でいいか」「こういう表現でいいか」っていうのを聞きながら歌の収録をしました。(石立監督はそのときのことを)覚えていますか?

石立:覚えています。ありがとうございました……!

斎藤:そんな、大丈夫ですよ!絶対よかったと思います。あのこだわりがあって、絵とばっちり合ったので。映像と音楽のシンクロってすごいなあってことを実感しましたよね。(CMを)公開したあともずっと再生数が伸び続けて、そのときは『Violet Snow』はまだ30秒の歌しかなかったんですけど、八田さんがすごく気に入られて。

八田:すごい1曲だったんで、ぜひ各国語バージョンで作ってくださいってオーダーしたのを覚えています。

作中に登場するタイプライターは、すべて3Dだと思っていたのですが、まさか手描きをしたこともあったとは驚きです。 CMでタイプライターが登場するのは冒頭の3秒間くらいですが、特に腕の良いアニメーターが1か月かけて描いたことを考えると、とても贅沢なカットですね。

それから、『Violet Snow』は、ヴァイオレットの世界にすごくマッチしているなあと思っていたら、石立監督が立ち会ってイメージを伝えながら録音していたのですね。これは納得、という感じでした。他言語バージョンの『Violet Snow』も素敵です。英語・フランス語・韓国語バージョンのキーはオリジナルと同じなのですが、中国語バージョンだけ半音低く、(あくまで個人的な感想ですが)それによって透明感が増しているような気がします。

英語ver(歌:Kate Higgins)


フランス語ver(歌:Michelle Michina)


中国語ver(歌:Freda Li)


韓国語ver(歌:Kang Min-joo)


6つ目のトピックは、ヴァイオレットシリーズの劇伴音楽の話で、ここでEvan Callさんが満を持して登場しました。私は、PV第2弾で流れる音楽に惹かれてヴァイオレットを見始め、今回のトークショーへの参加理由の半分くらいは「Evanさんのお話を聞きたい!」だったので、思わず「待っていました!」と掛け声を上げそうになりました。

Evan:これまで斎藤さんとは何度か一緒にお仕事をさせていただいていましたけど、(ヴァイオレットの音楽を担当することになってから)まずは打ち合わせを最初にやりましょうって話がありました。そのときに原作を買って読んで、打ち合わせの前に1曲作ろうかなって思って。それで打ち合わせに行って、この曲を作ってきましたと石立さんにプレゼンしました。それがよかったみたいですね。

石立:めっちゃ覚えています。『Violet Snow』もですけど、今後作品になっていくうえで音楽がどうなっていくのか、期待もあったんですけど不安もけっこうあって、大丈夫かなあ大丈夫かなあってずっと思っていたんです。でも、Evanさんが、第2弾のCMで(使われている)……もともとはさっきのお話しのとおり、(ヴァイオレット・エヴァーガーデンという作品の)イメージで、本当に何に使うっていうわけでもなく書いていただいたその曲が、タイプライターのキーを叩く音とか、手紙にインクペンを走らせる筆跡の音とかを音楽の中に取り入れてくださっていて。シンプルなアイデアといえばそうなのかもしれないですけど、それを何の面識もない段階でアグレッシブに取り入れてくるのが、「ああいいなあ、その思い切りのよさ」って思いました。実際にその曲も良くて、いたく気に入ってしまい、「これをそのままCMの曲にしても良いですか?」っていうお願いをさせてもらった。

Evan:それがシリーズのメインテーマ的なメロディーになって、テレビシリーズでもよく聞くし、この映画でもよく出てくるメロディーです。劇場版には別のメインテーマがあるんですけど、それでもテレビシリーズからずっと、最初からあのメロディーを使いたくて、あの気持ち良いところで使わせていただきました。

斎藤:Evanが最初にヴァイオレットの本を読んだときの感想を簡単に教えてもらってもいいですか?

Evan:はい。最初は、本なので……パソコンだったら(テキストを読み上げる機能で)漢字を読んでもらうこともできるのですが、本の場合は言葉を調べることもできないから、当時の彼女に、今の奥さんなんですけど、読んでもらいました。関西弁で読んでもらいまして、関西弁だと内容的にはちょっと違うかもしれないですけど(笑)それですごく素敵な話だなって思いました。特にあのエイダンの話とか、あれはすごいグッときた。時間が時間だったので、全部は打ち合わせの前に読めなかったんですけど、めちゃめちゃ感動するところまで読ませていただいて、そこで1曲早く作らないと、その気持ちがどんどん薄くなっていくから、まだフレッシュな状態で作ってみようと。 原作に感動し、その気持ちがフレッシュなうちに、のちにメインテーマとなる曲を作ったという話から、ヴァイオレットシリーズの劇伴音楽がどれも心に強く響く理由が分かった気がしました。「テレビシリーズのメインテーマのメロディーを劇場版の気持ち良いところで使った」というのは、劇場版のサウンドトラックCDのタイトルにもなっている『Echo Through Eternity』という曲のことで、たしか劇場版の最後に手紙が飛んでいく場面で流れていたかと思います。

Evanさんが話す日本語は、イントネーションがなんとなく西日本のものだなと思ったのですが、日本人の彼女にヴァイオレットを関西弁で読んでもらって、今はその方とご結婚されているという事情が不意打ちで登場し、「キュンです……」と悶絶してしまいました。

7つ目のトピックは、ロケハン(※2)に行った場所に関するものでした。日本国内にあるヴァイオレットの聖地といえば、C.H郵便社の建物のモデルになっている京都文化博物館が有名ですが、新たな聖地の情報がここで明らかになりました。

(※2)ロケーションハンティングの略。映画などで撮影に適した景色のある場所を探し、選定することを指す。

鈴木:ロケハンに行こうという話が合って、コロニアル様式の建物があるところはどこだろうってことで、「北海道にそういった建物が多いのでとりあえず北海道に行きましょう」と提案し、札幌・小樽辺りを見に行きました。

<スクリーン>
北海道でロケハンをした場所(北海道庁旧本庁舎、旧日本郵船小樽支店、旧北海道拓殖銀行小樽支店など)

斎藤:これ(写真の建物)をそのまま使っているってことはないですけど、多いにあの世界を作るのに参考にしていることが分かると思います。北海道は鈴木さんの出身地ということで、随分詳しくご案内してくださいましたよね。

鈴木:そうですね。この辺とかこの辺とかこういうのがありますよってことをピックアップして、案内していったっていう感じですね。

斎藤:このロケハンは、ここはEvanも来るべきだろうと僕は思いました。なぜかというと濃く作っていくうえでコミュニケーションって重要で、同じ時間を過ごして同じ体験をして、そうやっていってより仲間になれるだろうなあって思っているので、Evanにも来てもらって。ここがEvanと皆さんの初対面だったんですよね。

鈴木:そうですね。

斎藤:ここでEvan君は……(笑)

Evan:ここで初めて斎藤さん以外のスタッフと出会ったので、もうちょっとフレンドリーに話せるようにって、ちょっとしょうもない冗談は言ったんですけど……近くにあの建物があって、斎藤さんに「この建物はMichael Jacksonが一番好きな色や」って言って、それで、「アオウッ(青)!」って。

斎藤:どうやって振ればいいか分からなかったんですよ。打ち合わせで、これを振ってくれって言われていたんですけど、この空気感でどうやって振るんだっていう(笑)悩んじゃいました。

Evan:申し訳ないです(笑)

斎藤:面白かったんで「これ石立さんの前でやれよ」って言ってやらせました(笑)

Evan:やらせていただきました。で、「まあ、なるほど」って感じで。

斎藤:(石立さんは)苦笑いしていました。

鈴木:1枚目の画像にある建物を見に行ったときですよね。

斎藤:そんなことをしてコミュニケーションをとっていたんですよね。

石立:はい。すごくEvanさんの人となりが分かりました(笑)

斎藤:実際、このときの体験があってずいぶん話ができるようになりました。北海道では原作者の暁先生にも会って、お話も聞けました。

スクリーンには、かなりたくさんの建物の写真が写されていたこともあり、残念ながらEvanさんが仕込んだギャグを披露した「青い建物」の特定はできていません。

ちなみに、「アオウッ!」の元ネタは、こちらの動画をご覧ください。4分9秒あたりで登場します。


ロケハンの旅はまだまだ続きます。

<スクリーン>
ドイツでロケハンをした場所①(ゲルマン国立博物館)

鈴木:これは監督がぜひ行きたいと言ったゲルマン国立博物館です。(作中に登場する)小物がドイツの民族のものだったので、それを見に行って。ドイツってエアコンがないので、(見学に行ったときに)36℃とかになって死にそうになっていました。音楽(関連の展示)の部屋が閉まっていたんですけど、Evanさんがぜひ見たいっていうことで開けてもらったんですよね。

Evan:そうですね。なかなか見る機会がない楽器がたくさんあったので、見たいって言って開けてもらいました。

<スクリーン>
ドイツでロケハンをした場所②(コッヘム城)

鈴木:ドイツのロケに行ったときには外伝の脚本はほとんどできていたので、(外伝に登場する女学校のモデルとなった)コッヘム城を見ながら、こっちの橋のところからヴァイオレットが学校を見るとか、そういうのを現地で話し合いながらやっていました。

<スクリーン>
ドイツでロケハンをした場所③(マンハイム美術館・マンハイム城)

鈴木:これはマンハイム美術博物館ですね。このときに劇場版のプロットがある程度できていたので、電話機とかの資料が必要になるだろうということで、私一人で抜け出して見に行きました。こっちがエレベーターですね。ドイツに残る最初期のエレベーターなんですけど、あまり絵としてよろしくないってことを監督から言われて、これとは別なエレベーターになりました。これがマンハイム城ですけど、この床とか見ると、外伝のデビュタントの舞台になったあたりですね。実際にこの床の上で、私がこんな感じ(でキャラクターが動く)っていうのをやりました(笑)

斎藤:こういうロケハンがあって、コミュニケーションがあって、あの映像になっていくということで、すごく有意義な時間でしたよね。監督は、ドイツが好きなったと言っていました。

石立:はい。そんなに海外に行ったことがないんですけど……外伝の監督の藤田さんともそういった話をしていたんですけども、北海道で、日本の建築ではないような、コロニアル様式とかの建物を見ていたんですけど、ドイツとか本当にヨーロッパ圏の建物は扉が異様にでかいっていうことを初めて、実体験として見て、なんでこんなに扉が大きく作られる必要があるんだろうみたいな。まあ、必要があってでかいんだと思うんですけど。そういうことが(テレビシリーズでは)ちゃんと絵として抑えられていたかなっていう反省点とかも含めて、外伝や劇場版とかの方では生かしていこうということで、とても有意義に見させてもらいました。

外伝でデビュタントが行われたのは、マンハイム城の「騎士の館」という場所のようです。施設のホームページに写真がありました。コロナの流行が終わったら、現地へ行って実物を見てみたいなあ。

鈴木さんが、1作目の映画を作っている時点で2作目のプロットができていたということをさらっとおっしゃっていましたが、アニメの絵の部分を作るための時間を考えると、ストーリー部分はかなり早い段階ででき上がっている必要があるのですね。

日本動画協会のホームページで、興味深い資料が公開されていました。
アニメシリーズ制作における制作進行のマニュアル

8つ目のトピックは、ドイツで行った劇場版の音楽のレコーディングの話でした。

<スクリーン>
ドイツのレコーディングスタジオの写真

Evan:テレビシリーズは、東京のスタジオで録音させていただいて、すごくいい感じだなって思うんですけど、劇場版だとやっぱり映画館で聞くものなので、(見る場所の)大きさに合わせて深みがある音にしたいなと思って、ドイツで録音させていただきました。(スクリーンを指して)これがスタジオです。ものすごく広くて、天井もすごく高い。横にカーテンがあるんですけど、理詰めな感じの曲だとカーテンを閉めているんですけど、ヴァイオレットの劇伴はスローな曲が多くて、メロディーを聞かせるものなので、(レコーディング中にはカーテンを)全部開けて。とても気持ちよかったです。

<スクリーン>
演奏者や楽器の写真

Evan:娘さんがヴァイオレットのファンという方がいらっしゃったので、一緒に写真を撮らせていただきました。他は楽器の写真など。弦の編成も、ヴァイオリン14、ヴィオラ10、チェロ8、コントラバス6と、今まで録音した中で最大の規模でした。(演奏者が)ものすごく情熱的で、めちゃめちゃ気持ちいい音楽を作れました。

斎藤:スタジオ全体がでっかくて響きがいいんですよね。大きな深みのある音になりますよね。

劇場版のパンフレットによると、演奏を担当したのは「フィルムオーケストラ・バーベルスベルク(Filmorchester Babelsberg)」という、テレビや映画向けの音楽を積極的に手掛けている楽団のようです。 レコーディングを行った場所として紹介されたスタジオの写真が、楽団のホームページにも掲載されています。そして、クレジットのページに劇場版のキービジュアルを発見!

同じ「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」という作品の音楽でも、テレビシリーズと映画で相応しい音楽の形が異なるというのは、とても興味深いと思いました。帰宅してからテレビシリーズの楽曲と劇場版の楽曲を聞き比べてみたところ、テレビシリーズは、目の前の景色が広がって遠くまで見えるようになっていくように感じ、一方劇場版は、景色の広がり方がさらに立体的で、空がどんどん高くなっていくように感じました。これが、Evanさんがおっしゃる「深みのある音」ということなのかも?あくまで素人の感想ですが……

さて、楽しかったスタッフトークもそろそろ終盤です。脚本の吉田玲子さんと原作の暁佳奈さんから寄せられたメッセージを、斎藤プロデューサーが紹介しました。

<吉田さんのメッセージ>
このような状況の中、多くの方に劇場に足をお運びいただき、本当にありがとうございます。苦しみ、傷ついた先に、ようやく開けたヴァイオレットの未来が、皆さまの光になればうれしく思います。

暁さんのメッセージは、会場では短縮版が読み上げられ、スタッフトークの終了後に公式サイトで全文が公開されました。

メッセージの紹介のあと、一つ情報が解禁されました!来年の2月にオーケストラコンサートが開催されるとのことです。会場の大宮ソニックシティ(大ホール)は、キャパシティが約2,500席なので、昨年ロームシアター京都で行われたコンサートと比べると少し大きいですが、ソーシャルディスタンスを考慮して全席販売しない可能性も十分ありますし、チケットの当選倍率はかなり高くなることが予想されます。ただ今回は、有料ライブ配信があるので、現地参加はできなかったとしても、演奏を聴くことは必ずできるという点でとてもありがたいですね。

スタッフトークの最後には、石立監督が挨拶をされました。

石立:改めまして、本日はヴァイオレット・エヴァーガーデンをご鑑賞いただきまして、誠にありがとうございました。今、暁先生のコメントにもあったとおり、思っております。今回、制作・公開するにあたって、こうして多くの方に、ここに来てくださったお客様もそうですし、今日に至るまで(劇場に)来てくださったお客さまのすべての方々が、目にして、受け取っていただいて、作品として完成できている。本当にうれしく思っております。今作を作るにあたって、今までも十分わかっていたつもりではあるんですけれども、作って見ていただくことが、どれだけ困難で大変なことかっていうことを、本当に強く感じました。それだけに、こうして多くの方に見ていただいて、少しでも「よかったよ」って、「なかなかよかったんじゃない?」みたいな温かいお言葉をいただけると、僕だけじゃなくて、ここに登壇しているスタッフ、Evanさんも鈴木さんも八田さんもそうですし、弊社京都アニメーションのスタッフも、製作にかかわったすべての方の、労力っていうと苦労したみたいなに、苦労したっていうとなんか嫌な話なのであれですけど……単純に頑張ってよかったなって思えたのは、ここにいる皆さまのおかげだと思っております。本当にありがとうございました。これからも、この作品を愛していただけたらうれしいです。本当に、今日は遅くまでありがとうございました。

会場一同、拍手!!

石立監督は、10月の舞台挨拶で、「公開されてお客様に届けられた時点で、その作品は見てくださった方の一人ひとりの身になると思うので、これだけ多くの方に観ていただいている分、責任も大きく重くなっている」とおっしゃいました。そして、今回のスタッフトークでも、「お客さんに見てもらって、受け取ってもらって、初めて作品として完成する」という発言をされました。どれだけ自分が良いと思うものを作れたとしても、見てもらわなければ意味がない。石立監督の話の中でも、特にアニメ制作における自身の価値観が強く表れている部分で、とても印象的でした。
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スタッフトークで楽しいお話を聞かせていただいたことはもちろん、何よりこのような素晴らしい作品を作り世に送り出してくださったことを、本当にうれしく、本当にありがたいと思います。ヴァイオレットの物語は今作で終わりますが、これからもこの作品を愛し、面白さを多くの人に知ってもらえるよう、まずは身近な人に広めていこうと改めて決意する、最高の夜となりました。